Rouxで100日後にsub10.5するルーアー
挨拶・概要
みなさんご無沙汰しております。集中botです。
この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2021の15日目の記事です。
14日はyukiさんの「スピードキュービングの大会ができなくなってから約2年が経ちましたね。」でした。私も久しぶりにキューバーと直に会ってお話ができたらいいなと思っています。
この記事ではRoux methodを始めてみた大学院生の100日間経過観察した手記が綴られています。私の強みであるSquare-1で7秒程度のソルブ力と理系大学院生としての考察力を持ってして全力でRouxerとしての成長を渇望しました。言うなればどのような点を克服することによって100日後にはどの程度成長できるのかという実験データです。結果としてao :50でsub10.5することができました。この記事にはもちろん様々な稚拙な点や反論可能な部分があるかと思います。そのため、あくまでキューブがある程度早くなるまでのサンプルケースとして気軽にご覧ください。
(PS;久しぶりに日本語を書くので変な表記を見つけても優しく微笑むだけにしておいてください。)
Day 1. Rouxに慣れる
8/28にRouxを始めます。CFOPは16秒程度でした。
私は何かを新しく始めるに当たって"習うより慣れろ”という精神を何より大事にしています。そこでRouxを使って脳死で800ソルブしました。なお、CFOPはCNでしたので白黄色を上下に全側面で解き始めました。結果、800ソルブ終了時点で天地が逆転し視界から色彩が欠け世界が白黒になりました。というのもRouxはCFOPとは異なりSB作成時点でセンターパーツにエッジパーツを合わせる必要が無いため、それぞれの上下面側面に対応するパーツを1ソルブずつそれぞれの配色を確認しながらソルブを行ったためです。バラバラなカラフルを追い続けた果ては色の喪失でした。
そこで、RouxではD面や側面の固定される方が多いと耳にしたため、D面&側面色を固定して練習をすることにしました。また、メガミンクスにおいても上達にはS2Lを埋めるカラーの順番を固定することが重要であると教わったことがあり、それを実践したところ数ヶ月で1分程度で解けるようになった経験があります。そのため、Rouxにおいても同様に配色固定を心掛けます。その際、初めは特にFBのパーツの配色を覚えるようにして練習に取り組み始めました。
Day 2. First Blockを考える
練習に当たって Onionhoney's Roux Trainersを参考にFBの練習を行います。そのサイトの標準色であるD面 白,L面を青にFBを固定しました。
また、効率的なFB作成方法を考えます。私はFB作成において 1. DBLのスクエア作成 ⇨ 2. FLスロットイン という流れに着目しました。以下にその理由を記します。
簡易的なRouxのFBでは 1. DLエッジ ⇨ 2. FL or BLスロットを埋める. といった順番になるかと思います。しかしながら、BLスロットをB/B2やL面を回してF2Lと同様にスロットインするというのはあまり好みではありません。この時、FLを埋めてからBLを入れるという際にもこの動作が入ると思います。そのためDBLスクエアを先に作ることが効率が高い方法であると考えました。
またこのDBLスクエア作成方法には次の二つのパターンが考えられます。
1. BLエッジ挿入 ⇨ BLスロットイン
2. DLエッジ挿入 ⇨ DB/DLBパーツ スロットイン
この時、BLスロットをB/B2やL面を回してF2Lと同様にスロットインするというのは個人ときに得意ではありません。その反面、後者のパターン2ではD面を活用したスロットインが可能であり、そちらの方が指を動かしやすく、U面のパーツを把握も容易である上にその後のつながりも良いと考えたのでパターン2のみを使ったスクエアの作成法に重点を置き練習しました。
Day 3. FBを10手以内に作製する
この頃にはFBとSBの処理に際してD面を白,L面を青にした際にL面とM列,R列のエッジおよびセンターパーツが揃っていなくても違和感が無くソルブができるようになりました。
実は、Day2でFBをDBLスクエアから作り始めることに決定した背景には、もう一つの事情があります。うえしゅうさんより「FBはどのような状態でも7手以内に作製可能であり、上級者であれば10手で作り上げる」と聞いたためです。そこで、初心者が簡単に10手以内を達成できるように次のような構想を立てていました。
1,DBLスクエアを5手以内に構築
2,FLスロットをペア化しインサートを5手以内に処理
1のDBLスクエアは誰にでも可能でしょう。というのも、上述にもありますOnionhoney's Roux TrainersではFBの練習をすることが可能であり、さらに任意のスクランブルに対してFront/ Back First スクエアの最短手数回答を示してくれます。このサイトによるとどのようなスクランブル状態であっても5手以内のDBLスクエア作製の解答が返ってくることから、DBLスクエア5手以内構築は現実的であると考えました。
また、初めにDBLスクエアを作製することでBack サイドのインサートが終わることから、FLスロットパーツの視認性が高くなることもD BLスクエアfirstを優先する理由の一つになります。
2のFLスロット処理も簡単です。CuberootのRouxコーナーに FIrst Block Last Pair Algorithmsというページがあります。そのページ内では全ての通りにおけるFLパーツのIT化とインサート処理が掲載されており、ほぼ全てが5手以内の処理で終えることが可能です。私はひとまず次の画像の手順を覚えました。
Day 4. CMLL
Day1からDay4にかけてCMLLの習得を並行して行っていました。四日間でCMLL手順の判断方法と手順を覚えました。参考にしたサイトはRoux Method Guid by Kianです。
ソルブ中でのSune系の判断はRoux初学者には難度が高く困難を極めました(COしてJ or Y permした方が速い)が,楽をする欲求を抑えピュアCMLLを一刻も早く自由に使えるよう頑張って練習しました。
CMLLやOLL, PLLは初学者から敬遠されがちで暗記を避ける人が少なくない印象です。しかしながら、自分の好きなことを覚えずに嫌な気持ちで2LOOK処理をすることはとても勿体ないことだと思うので、しっかりと悦びを噛み締めながら練習しました。
CMLLの判断について、複数の判断基準面を設けることは基礎的で有用であると思います。しかしながら、私は別の2段回で判断するというアプローチをしました。いつかブログに書くかもしれませんし、書かないかもしれません。
Day 5. 基準色を増やす
これまではD面 白,L面 青,F面 赤,B面 橙でソルブを行っていましたが基準色を増やすことにしました。(基準色が少ない方がラッキーケースが少なく、逆にFBの作成が困難だからです)。
次に増やした色は基準色(D面 白,L面 青,F面 赤,B面 橙)よりy2(D面 白,L面 緑,F面 橙,B面 赤)とx2(D面 黄,L面 青,F面 橙,B面 赤)した状態です。ようは横の色と上下逆の色を覚えました。基準色はそのような感じで増やし、一週間程度で白黄色をD面にしたときに全ての色でFBを作れるようになりました。
Day 6. roux固有のSB手順を覚える
RouxのSBはF2Lと同様に使えますが、M列がフリーであるためF2Lより少ない手数で処理することができます。それらの手順を覚えました。参照したサイトはRoux Method Guide by Kian - Second Blockです。 この時点でのaveはおよそ35秒ほどでした。
それとFBを作る際に次の動画も参考にしました。よろしければぜひご覧ください。
Day 17. 9/13
ここまではひたすらRouxを回していました。FBを満足に作れずこの時点でのao5 PBが19.85とかなり不自由なソルブをしていたことでしょう。
Day 18. 9/14
たまには良いタイムが出るようになってきました。単発でsub15, ao5で17.25程度です。
Day 19. 9/15
- iPhone 13が発表されました。
- ワクチン接種1回目のAZを打ち終えました。
- だいぶ早く速くなれました。各々のソルブにおいてほぼほぼsub20ができるようになりました。ただしCMLLはたまに間違えますし、いまだにS, AS系はかなり難しいです。
それとao5 6.64でRouxにganを使用するキューバーを見つけました。
Day 20〜22. 9/16~9/18
結果としてFBはほぼほぼ間違いなく10手前後は出せるようになりました。しかしながらまだまだ弱点が多かったです。
- CMLLを間違える
- 全てのセクションで判断が遅い
- 完バラだとFBが死ぬ(エッジがセンターパーツやコーナーパーツと揃っていない)
- FB読めないケースが多い
- SBがほぼ間違いなく死ぬ。
回数をこなしてこれらの点に重点を置き練習を行うようにします。やはり慣れることが上達の近道ですね。
- speed cube algrithmsのreconstructionを見て練習する機会が増えました。
- それと単発11.55, ao5 : 14.47, ao100 : sub18を記録しました。
Day23 9/19
ao100 : sub17しました。
Day23~27. タイムが伸びない
Rouxがかなり伸び悩み始めます。ao100 : 17前後で停滞。五日間で5000ソルブしましたが次のステップが見えません。限界までソルブを繰返し不調になった時こそ、気づいた時にはさらっと成長していることが多いので特に気にする必要はないと思っています。しかしながらやはり不調が続きにはかなり苦しまされました。
発見として、LRの際にMとM'の選択で手数が減ることを認知します。LRしたいエッジがその同色または対面色のコーナー間にある場合は極めて短い手数で揃えられるという意味です。ソルブ中にその点を意識して練習を行いました。
Day 28. 光の単位は条
ao100 : sub 16
非常に大きな成長を得た日です。光り輝く道の上にいました。これまで見えてなかったもの、出来てなかったことに囲まれた霧の中で一気に視界が開けました。"考えることが楽しい" からやっと "キューブを解くことが楽しい" って思えるようになります。この感覚はキューバーなら一度は味わったことがあるのではないでしょうか。こうした成長と喜びを振り返るのは自身のモチベになるので、このような体験は決して忘れないでいてください。
(正しくは光の単位ではなく数え方が条です)
Day 29. SBが難しい。
ao5 : 12.94 pb
この辺りでもまだSBの先読みがかなり難しいです。ちなみに、FBのRouxグループでFBとSBとでどちらの難度がより高いと思うかアンケートが実施されていたがSBの方が多いのでRouxer共通の悩みなのかもしれません。
Day 30. ダブルトリガーへの矯正.
- ao100 : sub15を記録。
- LSEの回し方を強制。中指ホールドから薬指ホールドに切り替えるように意識します。
- U2の際に左手人差し指だけで行っていたものをダブルトリガーで行えるように練習を始めます。
- ダブルトリガー中はタイムが落ちました。よくてao5 : 16程度。
Day 44
ao100 : sub14
上述した点に気をつけひたすらソルブを行った結果です。
(ⅰ) M列を用いた通常のeoではダブルトリガー
(ⅱ) フルeoでR U’ r’ U’ M’ U r U r’使用する際は人差し指U2
Day 50. WR maglev
台湾にもWR maglevが来ていました。購入。wr maglevの調整は磁石を最強にしてDMN-37を塗りたくりました。500回ほどソルブを行いましたが安定性が高く安心して回せるキューブのように感じます。ただサイズ感が小さいのでそこら辺が気になります。
Day 56. 10/22
sub14程度の時のソルブ分布です。
タイムのブレが酷く、18秒などの遅いタイムは①SBでのDRエッジを見失ってしまったり、②FBが滑らかでなかった時や、③SBでの先読みの悪さが起因していたようです。そこら辺に集中して練習しました。
Day 57. 10/23
ao 50 : sub 13
Day 58. 視点を変える.
- Rouxの4cの先読みの方法を変えました。今まではエッジの色のみを追っていたが、それだけでは最適じゃない4c処理を行ってしまうため判断基準を変えました。(あまりにも余白が少ないため今回は説明を割愛)
- seanの机に食戟のソーマが積まれていることを発見しました。
RMS Weekly Comp #343: 3x3 6.46 Ao5 - YouTube
Day 63. Lin method
square-1でLin methodを試してみました。aveで15秒程度です。Lin methodはかなり速い解法だと思うのでいつか解説記事をあげるかもしれません。(あげないかもしれません)。
Day 66 11/1
ao 50 : sub12
このあたりからタイム分布を気にし始めます。成長には "over17秒の時のようにタイムを悪くする要因”と”タイム全体に関係する悪い要因”があると考えるためです。前者の方はソルブ後に再度スクランブルして何がタイムに悪影響を与えたのかを調べました。
Day 76,77
ao50 : 11.37
初めてのsub8っぽいのも出ました(多分初めて)。このレベルになると出るのかもしれません。SBは適当に回したらたまたまできました。
1. 7.98
Scramble : L' U2 L2 F2 D' F2 D2 L2 D' R2 D L2 R F' L2 B2 L F U2 L
Solution ;
x R U2 F’ /FB
R U R’U’ R U2 R U R2 /SBB
U2 R’ U2 R U R’ U’ r /SBF
U R’ U’ R U’ R’ U2’ R2 U R’ U R U2’ R’ / CMLL
Edges
Day 78 11/13
ao50 : sub11
.
Day 83. ゆっくり回し
”TPS爆上げ” vs "ゆっくり回し先読み”をao12で計測したところ "ゆっくり回し先読み"の方が速かったです。Roux sub12程度ではまだまだ先読み出来ていないですね。ここら辺ではある程度先読みを意識しました。先読みがしっかりできているということは、心に余裕を持って回せるためTPSの向上に繋がります。そのため、先読みに自信のない方はTPSに頼らず自身の先読みについて考察してみたはいかがでしょうか。特にRouxではDBエッジが見えないため、その点に注意してソルブしました。
Day 88. ao50 : sub10.5
ao5 : 8.76, ao50 : sub 10.5
ようやくsub10.5というものが出ました。ただ調子がいい時と悪い時があります。
Day 89. 11.25
間違えて青Rouxを始めてみてしまった。ao25 : 17.59。これ自体は大したことないのですが、普段の基準面ではパーツが追い易くなる副次的効果を得ました。青なんて意味わからないのでRoux伸び悩んでいる人は疲れて脳が活動停止している時にでも脳死で練習してみると良いかもしれません。普段の基準色にバフがかかります。
Day 95,96. EOLR
eolrを覚えてみました。eolrに賛否両論があることは知っていましたが、自分が好きなことをめんどくさがらず着手せずに知らないままでいることは勿体ないので覚えてみました。個人的にeolrの判断とmisoriented centerでの判断はあまり手が止まらないので、eolrをやる価値はあるように感じます。eolrの暗記方法に関しましては後ほど本記事のこの部分に再度記させて頂きます。
eolrは以下のタニシさんの記事を参考にしました。神ブログです。私はpdfにして保存しました。ありがとうございます。
Day 100. ラスト
ao50 : 10.37
本音を言うとao100でsub10できるようになりたかったです。感想で現時点での弱点を述べそれらの克服に向け練習を行います。
結論と考察
Rouxを始めて100日間でao50 : sub10.5をすることができました。sub11までは「ここをこう改善すればあと1,2秒程度は速くなることができそうだ」という感覚がありました。現に頻繁に自身のソルブの弱点を分析しそれを克服するように心がけていました。しかし、現時点ではあまり速くなれる未来が見えません。このレベルでは初志貫徹として数をこなすという大事そうです。そうすれば次第にsub10という大きな目標が現実的になることでしょう。現段階での弱点を列挙します。
- FBが読めない時が少ありません。7秒程度で読みたいです。
- inspectionにてFBと同時にSBのDRパーツも読みたいです。
- SBでのパーツの読みレベルがあまりにも乏しすぎます。読みの練度が向上すれば指の速さにも繋がることは間違いないので読みの深さをあげたいです。
- CMLLの指が下手すぎます。Seanは最短ではない手順をCMLLに採用してTPSをあげているので私にとってもそのような自身に合わせた最適化が必要でしょう。
- CMLLの先読みができないかな〜なんてこのブログを書いているときに思いました。ある程度なら何となくできそうですね。
10.5程度で解けてもこのように沢山の改善点がありますし、ここに至るまで自分のソルブを何度も見直しました。現在伸び悩んでいる方にとって、私の苦悩とそれらの解決をまとめた本記事が何らかの参考になることを祈っています。みんなで一緒にキューブを楽しみましょう!それではまた!
Acknowledgements
This work was supported by the Uesyuu and Mochi. Mental support for this work was also provided by Uesyuu and Mochi. I acknowledge funding from no insititution. I acknowledge the contributions of the many speed cubers. I am also very grateful to the oppotunity to provide this blog as the advent calendar for Sinpei Araki.